公開日:2022年8月22日 | 最終更新日:2023年12月17日

のどの違和感から診断、手術、復帰までかなり力を込めて語られた闘病記

基本データ

歌手、音楽プロデューサーとして大成功を収める著者を突然襲った「喉頭癌」という病は、一番大事にしてきた声を奪い去った……。

本書では、声帯摘出に至るまでの壮絶な日々、闘病を支えてくれた家族のこと、平坦ではなかった歌手人生、プロデューサーとして思うこと、そして、声を失って歩き始めたばかりの新しい人生について──そのすべてを、格好つけることなく赤裸々に綴っている。

歌手として、父として、どんな逆境をも肯定し、迷いながらも前を向いて進む姿勢は、どんな境遇の人にも、明日を生きる力を与えてくれる。

思いも寄らない事態に直面したとき、人は何を捨て、何を選ぶのか──究極の生き方論!

Amazonから
書名「だから、生きる。」
著者つんく♂
出版社新潮社
発売日2015年9月10日
  • 患者氏名:つんく♂(1968年頃生まれ)
  • 種類:肺腺がん
  • 発症年齢:45歳頃
  • 病歴概要:2013年9月、ツアーが終わる頃、のどに違和感があった。多忙なため、翌年2月に生検し、喉頭がんと診断される。喉頭がんの告知後、放射線治療、分子的標的薬を始める。これらの治療が終わった後、のどの違和感が続くが、2014年9月に寛解を発表。しかし10月に転移が見つかり、声帯全摘手術を行った。
  • タグ・ジャンル

最初にお読みください

このサイトの書評を初めて読む方は、「おススメ書籍の使い方をまず一読ください。

おススメ書籍の使い方 | がんケアネット

以下の文章には、「末期」・「死」などが含まれている場合があります。

おススメポイント

のどの違和感から、診察・治療・仕事復帰までを詳細に語る

のどの違和感から始まって、診断・告知・放射線治療などの経緯、手術・仕事復帰までが詳細に語られている。また、奥様や子供たちのことなども随所に語られている。

詳しくは本著を読んでほしいが、放射線治療後も著者はのどに違和感を覚え、医師に訴えた。しかし医師は放射線治療の副作用だと言い続けた。結果として、転移していたが、この経験から、自分の感覚をまず信じようと著者はいう。

まさにその通りであるがなかなか難しい。しかし忘れてはならない重要なポイントだろう。各章に年度が記載されているため、時系列が非常にわかりやすく、一人の人間としての時の流れと生き様がよくわかる。

こんな方へ

  • 自覚症状から診察・治療・手術・仕事復帰までの流れを知りたい方
  • 闘病中、どんな考えを持てばよいのか

「自分の感覚を信じろ」:本書のおススメ一部抜粋

下線は私自身によるものです。

この本を書こうと思った理由

最後に、なぜ、僕が本を書こうと思ったのか。それは、この本を通して伝えてきたことだけれど、最後にもう一度言っておきたい。

一つ目は、とにかく、自分の感覚を信じてほしいということ。僕も定期的に人間ドックを受けていたし、ちょくちょく通院もしていた。それでも病気になり、癌の発見が遅れてしまった。自分で不調を感じていたのに…。

だから、もちろん検査は目安ではあるが、検査結果を鵜呑みにしないこと。お医者さんも人間。時には見落とすこともある。

あなたが医師に診察されるということだけでなく、あなた自身が医師を見定めていくというくらいの気持ちが必要であると思います。

引用:p242

いわゆる身の置き所のない痛み?

点滴には強めの痛み止めも入っているらしかったが、なかなか効かず、とにかく居心地が悪かった。

痛いですか?  何が嫌ですか? と看護師さんに聞かれてもそのニュアンスをホワイトボードにゆっくり書いてる余裕なんてない。痛いのは痛いけど、それだけでなく、なんとも言えない居心地の悪さがとても辛かった。

この時の、背中の「痛だるく、気持ち悪い感」をどう表現していいか、文字をじっくり打てるようになった今でも、表現しようがないくらいの辛さだった。

引用:p204

この書籍の目次

序章 新たな一歩 2015.4

第1章 最後のステージ 2013.8~2014.2

第2章 終わりのない悪夢 2014.2~2014.10

第3章 仕事漬けの日々 1992~2006

第4章 守るべきもの 2006~2011

第5章 永遠の別れ 2014.10~2015.4

終章 未来へ続く扉 2015.4~

確固とした自分を持っていることがわかるしっかりした、がん闘病記