公開日:2022年8月21日 | 最終更新日:2024年1月30日

病よりも仕事。最後まで自分らしさを貫く凄さ

基本データ

生還を信じ、女優として舞台に立ち続けた妻。
妻の余命を知りながら、支え続けた夫。
妻と夫、二人で完成させた奇跡の物語。

人間ドックで偶然発見された「肝内胆管がん」。手術と抗がん剤に疑いを持ち、最善の治療法を探し求めたセカンドオピニオン。信頼できる医師と出会い、覚悟して臨んだ腹腔鏡手術。手術前夜に病室で綴った、夫への遺書。「私の娘」とまで呼んでいた、愛犬シナモンの最期。そして、夫が書き記す、激やせ騒動と衝撃の死の真相。

最後まで「川島なお美」を演じきった、ある女優の生き様

Amazonから
書名カーテンコール
著者川島なお美
出版社新潮社
発売日2015年12月8日
  • 患者氏名:川島なお美(1960年頃生まれ)
  • 種類:肝内胆管がん
  • 発症年齢:52歳頃
  • 病歴概要:毎年、人間ドックを受けていた。2013年8月の人間ドックの結果から肝臓に影ができていることがわかった。人間ドックの一週間後に精密検査で胆内胆管がんと診断。2014年1月26日手術。
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以下の文章には、「末期」・「死」などが含まれている場合があります。

人生の最後まで、女優を貫いた著者の生き方には、素直に敬服:本書のおすすめポイント

女優である川島なお美。

胆管がんでの手術から退院後、亡くなる約一週間前まで舞台に立ち続けた。

本書は著者が生前に書き残したものと、その後、ご主人が引き継いだ形で一冊となっている。

信頼できる医師に出会うまでセカンドオピニオンを続け、自分で納得できる治療法を行い、本当に亡くなる直前まで舞台に立った著者。

人生の最後まで、自分らしさを貫いた著者の生き方には、素直に敬服したい。

序章に「とにかくがんを放置することはしないでください」と記載されている。

このような方、このような時に、「カーテンコール」を読んでほしい

  • 一人の女性の生き方を知りたい
  • 「自分で決めて、自分で治す」。主体的な闘病とは

治療法は自分で、じっくり決めるもの:本書のおススメ抜粋

下線は私自身によるものです。

がん放置療法は反対

それからもうひとつ。様々な著書で有名なM先生の存在です。先生の本でためになったこともたくさんあります。即手術しなかったのも、抗がん剤や放射線治療に見向きもしなかったのも先生の影響かもしれません。

でも、がんは放置さえすれば本当にいいのでしょうか? 何もしないことが最良の選択なのでしょうか? 検診にも行かない。がんを発見することも無駄。知らぬが花だ……。私はそうは思いません。

がんかもしれないと診断されることで、人生真っ暗になってしまったとしても、それは一瞬のこと。目からウロコの「気づき」をたくさんもらえて、かえって健康的でいきいきした人生に変わることだってある。それは、自分の病への向き合い方次第なんです。ただただ放置し、あきらめて天命をまつのが一番賢く穏やかな生き方という理論。経験者としてはそれがすべて正しいとは思えません。

がんと診断されたら放置するのではなく、その対処いかんでより健全で、充実した生き方が待っている。それは、私ががんになってみて初めてわかったことなのです。がんと診断された皆さん、決して「放置」などしないでください。まだやるべきことは残っています。かといって医者のいいなりになって、抗がん剤治療などと早まらないでください。

引用:p15-16-

自分ひとりで抱え込まない、いつでも心を風通しのいい状態に

いちばん身近な夫、女友達、仕事関係者。ごくごくわずかな、信頼のおける人たちにだけは知っておいてもらう。自分ひとりで抱え込まない、いつでも心を風通しのいい状態にしておく…..

がんと告知されたら、その心の痛みを分かつことをオススメします。何より気持ちが楽になるし、自分ひとりじゃないという心強さが困難に立ち向かわせてくれます。

引用:p33

信頼できる人に伝える がんと診断された時にするべき2番目のこと

主人や親身になってくれる友人がいなかったら、いったい私はどうなっていたことでしょう。

周りに理解してもらうことで、不安は和らぎます。がんファイターの友人がいてよかった、結婚していてよかった……つくづくそう感じました。誰にも話さなかったら、ひとりで抱える苦悩に耐えきれません。

でも、職場で皆に知れ渡ってしまったら、そういう目で見られることにまた居心地が悪くなりますよね。まずは信頼のおける人にだけ理解してもらうこと。それが、がんと診断された時にするべき2番目のことです。

引用:p36

治療法は自分で、じっくり決めるもの

「がん研究」って、そんな暢気なことばかりしてないで、急いで手術しないと腫瘍が大きくなってしまうって? そうかもしれません。でも、その腫瘍は、昨日今日できたものではないのです。

細胞の遺伝子が傷ついて発症し、CTやMRIの画像に映るようになるまでに、すでに何年もかかって成長したものなのです。決して早期発見ではないのですから、今さら慌ててもしかたありません。

病院に行けば医者がなんとかしてくれるという考えは捨てて、生活習慣や心の持ち方を変えるところから始めてください。治療法は自分で決めるもの。じっくり研究しながら、後悔のない最良の選択をしてください。

引用:p52

医者の気負いを感じた

でも、何が何でも切りたくてうずうずしていると感じてしまったので、この病院には二度と戻って来ないだろうと思いながら、車に乗り込みました。

引用:p33

第8章 私の「がん活」から、4つの注意点

  • 患者の目を見ない医師は避ける
  • 患者ではなく、自分の利益を考える医師は避ける
    初めてセカンドオピニオンを受けた、某有名大学病院の若きドクター。前にも書いたとおり、切りたくて、最先端治療をやりたくてやりたくて、私の気持ちはそっちのけで、ウズウズしているように感じられた。
  • 病気になっても病人にならない。
  • 自分のホームドクターを見つける

この書籍の目次

まえがき
序章 スクープ
第1章 疑い
第2章 戒め君
第3章 良性か、悪性か
第4章 セカンドオピニオン
第5章 決断の日
第6章 主人への手紙
第7章 手術と退院後の日々
第8章 私の「がん活」。
第9章 再発の不安とシナモンのこと
終章 ラストステージ
あとがき

自分を貫く考え方には、本当に強く共感した