がん患者の体力・筋力低下に「インターバル速歩」
基本データ
放っておくと筋肉は年齢と共に衰え、そのことが原因で免疫力が下がったり、生活習慣病を引き起こしたり、心の健康や、脳の認知機能にまで影響を及ぼすと言われています。とはいえ、筋肉を衰えさせてはいけないとわかってはいても、運動をコンスタントに取り入れるのはなかなか難しい……。
ジムに通い続けるにはお金も必要だし、一人でできないスポーツはその場所や相手を確保するのに手間やお金もかかる、ランニングはいきなり走っても大丈夫か不安……などなど、運動に対するハードルはけっこう高いものです。
そこでウォーキングの提案です。ウォーキングなら家の周りを歩いてもいいし、どこかに行くついでに1駅分歩くこともできるし、すぐにでも始められます。ただ、なんとなく歩くだけでは体力アップはむずかしいことも事実です。
著者は科学的に「どれくらいの速度で」「どれくらいの頻度で」「どれくらいの時間行えば」「どんな効果が得られるのか」を徹底的に研究し明確にしました。その根拠となるのは、20年にわたり6000人以上のデータを取った結果と分析。それがわかりやすく示されているので、なぜどのように体にいいのか、納得できます。
そのようにして確立した、効果的で継続しやすい方法「インターバル速歩」のやり方を紹介。ややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを一定間隔で繰り返すだけのシンプルな方法です。
Amazonから
書名 | ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方 (ブルーバックス) |
著者 | 能勢博 |
出版社 | 講談社ブルーバックス |
発売日 | 2019年10月17日 |
- 患者氏名:***
- 種類:***
- 発症年齢:***
- 病歴概要:***
- タグ・ジャンル
参考サイト
最初にお読みください
このサイトの書評を初めて読む方は、「おススメ書籍の使い方」をまず一読ください。
おススメ書籍の使い方 | がんケアネット以下の文章には、「末期」・「死」などが含まれている場合があります。
おススメポイント
気を付けたい足の衰え 意味のあるウォーキングを
入院や治療をすると、身体を動かさなくなり、脚力が急に弱くなる。身体の中で最も大きい筋肉が足。足が弱くなれば、身体も弱くなる、さらに体力が落ちる、といった悪循環に陥りやすい。また、告知直後も、精神的ショックで人によっては急に身体を動かさなくなり、食事量も減り、体力が落ちる場合もある。
50代前半の私も、3回目の入院くらいでの急な筋力低下には、驚いた。がん患者には、体力・筋力低下は大敵。そこで、ウォーキングについて科学的に書かれた本書をおススメする。
やり方は次のような感じだ。
- まず早歩きを3分
- 休みなしで、ゆっくり歩きを3分
- 合計6分を1セット
- 1セット6分を5セット=1日合計で30分間歩く。
- 1日30分を週に4回程度行う。
現在は行っていないが、私も半年ほど早朝に毎日行っていた。早歩き・ゆっくり歩きを交互に3分ずつで、合計30分間。できる限り、早歩きを3分間連続して、その後、休息の意味合いでゆっくり歩きを3分。ゆっくり歩きが終わったら、早歩きを再開。こんな感じだ。
このウォーキング方法は、本書だけでなく、ネットでも広く紹介されている。従来の、例えば一日一万歩が意味があるかどうかも本書に書かれており、一読の価値はある。
あわせて読みたい
告知で多くの人が精神的にショックを受ける。身体を動かすことが減り、食事の量も減る。そして体力が落ちる。この状態で手術をしても術後の合併症のリスクは高まるだけ。だからこそ、できる限り万全の体調で手術を受けるため、運動・栄養管理・精神面を整える。これがプレハビリテーション。ここも事前にチェックしておいてほしい。
産業医科大学|手術日までの過ごし方 術前から始める準備についてこんな方へ
- 闘病でかなり足腰が弱ってきた
- 手軽に、しかし実効性のある運動がしたい
- 今のウォーキングが正しいか確認したい
この書籍の目次
はじめに
第 1 章 体力とはなにか
第2章 効果的なウォーキング
第3章 「インターバル速歩」をより効果的にする科学
謝辞
おわりに
(巻末付録) インターバル速歩の開発背景
(付表)インターバル速歩の実施記録表
参考文献・出典
さくいん