心が穏やかになるエッセイだが、抗がん剤のつらさはリアル。がんが生活を大きく変えたこともわかる
基本データ
「ガンが見つかったのは、退社した矢先のことだった――」
敏腕編集者、会社大好き、そんな著者が思いもよらぬ退社。その一カ月後、ガンを宣告され、突然闘病生活が始まる。「まさか自分が坊主になろうとは。起きてマクラが髪の毛だらけで真っ黒だったあの朝のことは、生涯忘れないだろう」。何も「ない」日々のなかで見えてきた「これから」の生き方。毎日を真摯に生きる全ての現代人に捧げる渾身のエッセイ。
人生最大の苦難を、明日への道しるべに変えた女性。それがミルコさんだ。 (小川洋子)
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これを読んで、「山口ミルコ」という生き方を応援しないでいられる人はいないと思う。 (谷村志穂)
書名 | 毛のない生活 |
著者 | 山口ミルコ |
出版社 | ミシマ社 |
発売日 | 2012年2月17日 |
- 患者氏名:山口ミルコ(1965年頃生まれ)
- 種類:乳がん
- 発症年齢:44歳前半頃
- 病歴概要:2009年1月末:幻冬舎を退職。退職後にアロマフィットセラピストに右胸がおかしいと指摘され、同年4月4日に乳がんと診断。外科手術・放射線治療・化学療法を行った。
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参考サイト
がんで見つけた「ほんとうに大切なもの」 ~山口ミルコさんがたどり着いた場所~最初にお読みください
このサイトの書評を初めて読む方は、「おススメ書籍の使い方」をまず一読ください。
おススメ書籍の使い方 | がんケアネット以下の文章には、「末期」・「死」などが含まれている場合があります。
おススメポイント
ウェブ掲載をまとめたもの 治療と並行して書かれたため、感情の変化や抗がん剤のつらさがリアルに描かれている
出版社の編集者として20年間、仕事を続けていた著者が悩みに悩んで退職。数ヶ月後の2009年4月に乳がんと診断。本著は診断3ヶ月後の2009年7月から2012年1月にウェブ雑誌に連載され、それに日記を加えて再構成したもの。治療と並行して書かれているので、抗がん剤治療中のひどい吐き気など、リアルな辛さが伝わってくる。
全体的に穏やかなトーンのエッセイで、抗がん剤の副作用で苦しむ状況と、その後の様子など、人としての全体の雰囲気がわかりやすい。読みやすく、全体を通じてのトーンに心が穏やかになる。
こんな方へ
- 乳がんの闘病記で読みやすい書籍を探している
- 抗がん剤での脱毛の状況を知りたい
この書籍の目次
無職になって
第1章 会社を辞める
第2章 ガンかもしれない
第3章 毛のない生活
第4章 毛のある生活
第5章 まだ何も始まっていない
エピローグ 老木をめざして
あとがき