公開日:2019年5月1日 | 最終更新日:2023年9月29日

告知されたばかりの時、ちょっとした身体の異変にも気づきやすいもの。今までなら「明日になれば治っている」と思っていたものが「この痛みは、もしかして転移!?」となる。人間とはそういうものだ。そこで、私自身が今振り返って「あぁ、あの頃はなぁ」と感じたことを「がん患者あるある」と題して、これから紹介していく。今回は第一回目だ。

ちょっとした痛みをがんと結びつけてしまう

わき腹に差し込む痛さ、これは?

告知されて一ヶ月もしないときのこと。右脇腹前、へそ横にかなりの痛みを感じた。差し込む痛さだ。そして、今までこんなところが痛んだことはない。

「痛みがあるのは、食道の近くではないか! 転移とはこういうものか!」と考えたがん患者新人の私は、すぐにかかりつけ医に相談し検査してもらった。ちなみにかかりつけ医は20年近く、私の身体を診てもらっている。

心配し過ぎです。

ちょっとした痛みや異変をがんと考えがち。リラックスを。

かかりつけ医曰く、「レントゲンでは何もなかった。CTでないと、小さな腫瘍は見つからない。でもCTまでする必要はない。そもそも食道がんの検査でCTをやっているはず」とのことだった。要するに、私は心配し過ぎていたのだ。

変な色の痰が出たり、声がかすれたりしたら、同じようにすぐに相談した。痰の検査をしてもらっても異常なし、2、3日もすれば声のカスレは治ったりだった。

このように、今までなら、気にもしないこと、明日になったら治っていると思っていたことを「この痛みは、もしかして転移?」と考えてしまう。何十年も要して、やっと目に見えるようになったがん細胞。換言すれば、少なくとも十年くらいは「隠れがん患者だった」わけだ。それなのに、「表向きもがん患者」となった瞬間に、これだ。

多くの方は、がん患者新人であり、転移の経験も、がんの痛みも経験していない。だからこのような思考になるのだが、経験しているから言えること。当事者はある意味、必死である。特にがん患者新人の頃は。

経験者を味方に:患者会に入るという選択肢

このパターンは、本人だけでなく、周りの家族も巻き込む可能性がある。家族が「病院に行って診てもらって」と懇願し、がん患者以上に周りが見えなくなるわけだ。この弊害を回避するために、私の経験でいいと思うのは、患者会に入っておくことだ。患者家族が入ってもいい。

現在、私は「食道がん | 食がんリングス」という患者会に参加しているが、それは告知から3年は経過したあとだった。今思えば、もっと早く「患者会」に入っていれば良かったと思う。治療に関する相談も、この痛みは何かも、経験者に聞くのが一番早いからだ。そして先輩のがん患者各位は後輩や新人のがん患者にやさしい。

患者会は、ちまたにあふれている「これでがんが消えました!」といったものよりも、そしてネットで検索するよりも、リアルな情報だ。ぜひとも、すぐにでも、患者本人だけでなく、家族も患者会に入ることを強くおススメする。

一般社団法人 食道がんサバイバーズシェアリングス

なお、「食道がん | 食がんリングス」では、現在、ZOOMでほぼ毎月、患者会を開催している。

「それは、大丈夫ですよ。そのうち気にならなくなります」などと、先輩気取りで、偉そうにアドバイスをしている人がいれば、それは私だ。

今、思えば

上述したように患者会には、初期の頃に入っておけば良かったと思っている。

また、がん患者は治療後に3ヶ月や半年の期間で血液検査やその他の検査を行う。健康診断を年に2、3回やっているのと同じだ。ちょっとした異変はそこで見つかる。胃潰瘍や大腸ポリープなど、私もいろいろと見つかった。だから日々の異変を気にしなくていいとは言わないが、神経質にならなくていいと思う。普通の人よりも健康管理はしっかりしているともいえる。

がんになって最初の頃は、神経質になって、当然であり、今だからこそ私も言えるのだが(どこかでお前が言うか、と言われているような気がしてならない)。