がんを告知されたばかりの時は、どんな人でも頭の中が混乱し、ある程度、落ち着くまで時間を要します。ウェブで調べようにもどこをみればわからない。私もそうでした。

病院到着後、検査室へ

7時過ぎに起床し、9時半に地下鉄に乗った。今日は内視鏡検査で鎮静剤を使うため、車は使えない。この時間帯はやはり公共機関の方が早く、あっという間に大学病院に着いた。

  • 通帳や印鑑、契約書など捨ててはダメなモノ、遺った家族に保管場所を知っておいてほしいモノを明確にする=捨てないモノを決める
  • 現在、使っているモノで、自分の死後は捨ててほしいモノを明確にする
  • 一年以上、使っていないモノは捨てる
  • いつかは使うだろうと保管したままのモノは捨てる=使えるけれども、使っていないモノは捨てる
  • 子供たちや家族が使えるモノは、「使える・使いたければ使う・そうでなければ捨ててください」と明確に記す
  • 思い出の品で、どうしても捨てられないモノは「死後に処分してほしいモノ」として一か所にまとめておく

捨てずにメルカリなどで売れば、と思う人もいるかもしれません。しかし、すべて売れる前に、自分が再発転移したら断捨離の意味がなく、結局遺った家族に迷惑になります。

これは確実にすぐに売れるだろうというものは売ってもいいですが、売る人は、今まで既にやってきているはず。私の場合、メルカリで買っても売ることはなかったので、この点は選択肢にありませんでした。

さらに、私の場合、モノを捨てることで、過去に決別し、これからを生きたい、という願望もありました。

いずれにせよ、「さぁ、捨てる!」と決めた瞬間に、「いや、これは残しておこう」という気持ちが出てくるはず。その気持ちを押し殺して、潔く捨てることが最も重要なことです。

自分の死後、これがあって家族は喜ぶだろうか、使うだろうか、と考えれば大半は捨てられるはずです。

具体的なやり方

通帳や印鑑、契約書など捨ててはダメなモノ、保管場所を知っておいてほしいモノを明確にする

モノを捨てる前にやるべきこと、あるいは捨てながらも同時並行でやることが、捨てないモノを決めること。

印鑑・通帳・年金手帳・マイナンバーカード、保険証券や契約書・医療費の領収書、現在、継続中の案件の資料など、捨てないモノを決めて、それらがどこにあるかを明確にすることです。

特に、仕事だけでなくプライベートでも継続中の案件(趣味や友人関係)の資料は、自分にとっては大切でも家族はそのこと自体を知らないことが大半です。

これらの「保管場所」「存在そのもの」を一覧表にします。

現在、使っているモノで、自分の死後は捨ててほしいモノを明確にする

これは簡単で、現在、日常で来ている服やひげそり、筆記具などの日用品などです。よほどのものでない限り、自分が来ていた服を誰かが着ることもなく、自分が使っていた日用品をだれかがそのまま使い続けることもないでしょう。

ポイントは、「死後は捨ててもらっても構わないモノ」を明確にすることです。

一年以上使っていないモノは捨てる

さて、本格的に捨て始めましょう。

まず、「捨てても、すぐに買うことができるもので、一年以上、使っていないモノは捨てる」という方針を立てることで、捨てられるモノが簡単に見つかります。

  • 一年以上、着ていない服
  • 一年以上、使っていない日常品、読んでいない本
  • これらの中で、必要ならすぐに買えるモノ

これらは、「必要となれば再度、買うことができるモノ」です。服や本、日常品以外にも人によっていろいろあるはずですが、これらのモノをすべて捨てることで、まず全体量を減らします。新品でも捨ててください。去年の冬に着ていない服は、今年の冬にも着ないはず。一年以上使っていなければ、今後も使わないはずです。

さて、一年以上、使っていないモノの中には、「何十年も使っていないモノ」もあります。これらは、「いつかは使えるだろうと保管したままのモノ」で、次の指針で捨てます。

いつかは使うだろうと保管したままのモノは捨てる

「いつかは使うだろうと保管したままのモノ」「使えるけれども、使っていないモノ」という指針で探すと、かなり多くのモノが該当してきます。重要な点は、必要になっても再度、買えないものがあることです。しかし、「今まで使っていないモノはこれからも使わない」と自分に言い聞かせて捨ててください。また、世の中に、必要でも買えないものなど星の数ほどあります。

  • 誰かからもらった贈り物など(今まで残っていて使っていなければこれからも使わない)
  • 自分自身の記念品(どうしても保管したいモノは、死後に供養してほしいモノに区分する)
  • 一年以上、アクセスしていないデジタルファイル(自分がアクセスしていないのだから、誰もアクセスしない)

「今まで使っていないモノ」は、「ほぼすべてが、これからも使わないモノ」だと言えるので、バッサリと捨ててください。

また、ワードやエクセルなどで作った資料も、一年以上、アクセスしていないモノは思い切って消去してください。これらも大半が、自分の死後は不要なものばかりのはずです。

自分自身が買った、もらった記念品や思い出の品で、どうしても捨てられない場合は、下記に記す「死後に供養してほしいモノ」に区分します。

写真や紙の資料は捨てる

写真そのものや、子供からの手紙などは、捨てにくいものです。どうしても残したいものは「死後に供養してほしいモノ」に区分できるという余地を持ちつつも、できる限り捨ててください。これらは、遺された家族も処分に困るものだからです。

  • 昔の写真(スキャンしてデジタル化してから捨てる)
  • 昔の紙の資料(法的に残すべき契約書など以外は、スキャンしてデジタル化してから捨てる)
  • スキャンできないものは、スマホで撮影してから捨てる

デジタル化できる紙媒体は、スキャナーなどを使ってデジタル化して、クラウドに保存します。私の場合は、scansnapを使っていますが、これなら何十枚もの写真も書類もすぐにデジタル化できます。これらを無料のクラウド ストレージ – ファイル共有 | OneDrive” target=”_blank” rel=”noopener” title=””>onedriveなどのクラウドに保存しておきます。

富士通 PFU ドキュメントスキャナー ScanSnap iX1600 (最新/高速毎分40枚/両面読取/ADF/4.3インチタッチパネル/Wi-Fi対応/USB接続/フラグシップ/書類/レシート/名刺/写真)(Black)

googleの場合、「アカウント無効化管理ツール」というものがあって、gmailやgoogle driveなどに一定期間アクセスしなかった場合、自動的にアカウントを削除したり、第三者がアクセスできるようにするなどのツールがあります。これは是非とも設定してください。

さて、自分の書斎のプリンタ・ルーター、ZOOM用のカメラ・マイクなどの家電は、現在稼働中のモノで捨てられません。しかし、自分の死後、遺された家族が使うかどうかわからないものは、次の指針で決めます。

遺された家族が使えるモノは、「使える・使いたければ使う・そうでなければ捨てる」と明確に

カバンを透明袋に入れて撮影し保管場所も明示

上述のプリンタ、ルーター、モニター、ZOOM関連などや、私の場合は、ほとんど使っていないビジネスバッグが該当します。

これは断捨離当時、まだ学生の子供がいて、このバッグなら社会人の数ヶ月は使えるかなと考え、「使いたければ使ってください」に該当しました。

もし家族がそれなりの年齢で、それぞれが持っている場合は、死後に捨ててくれと明示すればいいことになります。

私の場合、プリンタ複合機はまだまだ使えますが、大きさもそれなりなので、「使えるので、使いたければ使ってください、そうでなければ捨ててください」としています。

これも一覧表にしておきます。この場合、重要なことは「すぐに使えるようにきれいに保管しておく」ことです。

思い出の品で、どうしても捨てられないモノは「死後に処分してほしいモノ」として一か所に

自分にとっては大切で、簡単には捨てられないけれども、遺された家族にとっても捨てるに捨てられないモノ。私の場合、妻からの手紙や米国ビジネススクールの卒業証書などの強い想い出の資料でこれだけは捨てられません。これは過去に決別するというよりも自分自身に決別してしまうような気がするからです。

これらの扱いは次のようにします。

  • まず、この指針に沿ったものを一か所に集める
  • 手紙や書類などは、新しくファイルを購入して入れ直す(入れ直す過程で、捨てられないと思っていたものがかなり捨てられます)
  • 収納ボックスくらいの入れ物を新しく購入し、すべてを入れる
  • 死後、このボックスに入っているモノを一括で供養するなどして処分してくれと記す

ポイントは入れ物を用意し、そこに入るだけのモノを残す、ということ。私の場合、次のような大きさの収納ボックスを買って、そこに入るだけのものを残すことにしました。大きさは人それぞれのはずですが、私の場合、入るようで入らないけれども、無理をすれば入る、という微妙な大きさでした。

アイリスオーヤマ チェスト ロング 幅39×奥行74 ×高さ23cm ホワイト/クリア MG-7423

もちろんこの収納ボックスを火葬と共に焼くわけにはいかないので、火葬と共にできるものは火葬に、それ以外は何らかの形で供養後に処分してもらえれば、と記載しています。

この収納ボックスの中身は私自身にとって大切なものです。死後に遺された家族が中身を見て、それぞれ思う形で処分してもらえればと考えています。

一覧表のポイント:「使える・使いたければ使う・そうでなければ捨てるモノ」・「死後に処分してほしいモノ」

使える・使えない・型番・備考

断捨離を終えて

断捨離は勢いだと思います。

私の場合、あるいはがん闘病中の方の場合、「残された時間」が念頭にあるはずなのでダラダラと断捨離しないはずです。今まで捨ててこなかったモノを一気に捨てることで過去に決別する。断捨離中に、これを意識してやると簡単にモノを捨てられました。

ただ、ここで紹介した内容は、家全体の断捨離ではなく、私の部屋にあるものの断捨離となっています。夫婦で家のモノを断捨離する場合は、少し違う指針も必要だとは考えています。

さて、一気に捨てたわけですが、その後に後悔はありません。結構、捨てられたと感じると共に、これ以降、あまりモノが増えていない感があります。それよりも空間が増えたことによる爽快感が今もあります。

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さて、一気に捨てたわけですが、その後に後悔はありません。結構、捨てられたと感じると共に、これ以降、あまりモノが増えていない感があります。

それよりも空間が増えたことによる爽快感、そして、捨てる過程で思い出した過去の記憶が、今まで以上に強くなったと感じています。

現在、一定期間使っていないモノは、少し大きめの箱にすべてまとめて入れています。ある程度、箱が一杯になってくれば、中身を確認して、上述の断捨離の方針に沿って捨てています。

家族からは、簡単に捨てるなと思われそうですが、「再発転移」という文字が頭の中から消えるまでは、このスタイルで続けます。