セカンドオピニオンを終えて、化学放射線療法にすると決めた。しかし、お世話になる大学病院の消化器外科や放射線科の専門医の話も聞きたい。そこで、セカンドオピニオン前に主治医にこの二つの診察科の面談をセットしてもらっていた。それが今日だ。
消化器外科と放射線科、雰囲気がまるで違う
まず消化器外科の若手医師が聞き取り
6月3日にセカンドオピニオンを行い、その後に化学放射線療法にすると自分の中で決めた。
そして、約一週間後の6月11日。この日は、主治医が設定してくれた消化器外科と放射線科の面談の日だ。今日は妻と一緒だ。
消化器外科の診察室は、消化器内科の向かい側。通いなれた空間で妻と呼ばれるのを待つ。1時間半ほどしてやっと診察室へ。そこには、かなり若い医師がいて、パソコン画面を見つめていた。
消化器外科の教授の面談の前に、この若手医師が私のデータを入力するようだ。消化器内科のカルテを見ればいいだろうと思いつつ、質問に答えていく。若手医師は、パソコン画面しか見ない。矢のようにタイピングしている。
本当に若手医師は画面だけを見ている。「入力」が彼の仕事なのだろう。「あぁ、外科は、私には合わないな」と残念だが、思った。
消化器外科の教授室へ呼ばれる
若手医師の聞き取りの後、数十分後に教授室へ呼ばれた。
そこには、学生のような若き青年たちが少し離れて、ずらっと並んでいた。一通りの挨拶を済ませ、教授が説明していく。それを私よりも先にうなずく若手医師たち。
「食道がんの手術は、・・という医師がいますから。わからないことがあれば彼に聞いてください」と教授。ここで、嫌になった。わからないことをなぜ今、トップである教授に聞いてはダメなのか。私はわからないことを聞いてみた。
「最近の試験のようなもので、ステージⅠで外科手術と化学放射線療法では同等の成績だというのが出たようですが?」と私。
「そうですね、今年早々に出ましたが、なんといっても外科手術は歴史が長いですから。ここはこの都市の中でも食道がんの手術は一番多いんじゃないですかね」と教授。
残念ながら、化学放射線療法よりも外科手術の方が優位であるかどうかについては、わからない答えだった。しかし、私は「わかりました」と応じて、教授との話を終えた。
放射線科での面談
次は地下にある放射線科へ。
受付で到着した旨を伝えると、アシスタントのような女性が来て、どうぞどうぞと、部屋まで案内してくれた。そこには医師が二名。ここでもまた一通りの挨拶を済ませた。
「なぜ、手術ではなくて放射線を?」と医師。「はい?」と私。
「男性の大半は外科手術を選ぶんですよ」と医師。
そこで、セカンドオピニオンの際にも使った、自分なりにメリット・デメリットをまとめた外科手術と化学放射線療法の比較表を見せた。
「なるほどね」と医師。その後、この病院のやり方を説明してくれた。セカンドオピニオンと同様に事前にメモを用意していた(こういう事前の準備に患者は簡単に感動する。いや、少なくとも私にはありがたく思える)。
妻も静かに聞いていた。
「お若いですから、効くと思いますよ」と最後に医師。「そうなればありがたいですね。私を題材に論文でも一つ書いてください」と私。それまでしゃべり続けていた医師とは違うもう一人の医師も、「最善を尽くします」と言われた。
こうして、放射線科の面談も終わった。リアルに担当する医師が、リアルな話をしてくれた。そこには若手医師もいない。
消化器外科の雰囲気とは大きく違った。プレゼンで比較すれば、放射線科の勝ちであることは確かだ。
やはり外科は苦手だと
人間というのは、一度、決めれば、その決断に合うことばかりを選ぼうとする。あるいは、決断に合う情報ばかりを見てしまう。その前提なら、最初から外科を色眼鏡で見ていたはず。
それでも、「入力」が仕事の若手医師。教授の横にずらっと並ぶ若手医師たち。色眼鏡がなかったとしても、印象は悪かった。
外科手術ではなく化学放射線療法にすることは妻には伝え済みだ。この日の感想など、妻は何も言わなかった。
主治医に化学放射線療法をすると伝える
そして、2019年6月18日、一週間後の主治医との診察。
続きは以下のエントリで。
主治医に化学放射線療法をやると伝えた | がんケアネット今、思えば
外科独特の雰囲気というのがある。気概がある、何も言わず任せなさい、という感じだ。この雰囲気は、「先生にお任せします」というタイプの人なら頼りがいがあっていいだろう。私は、このタイプとは正反対なので、それもあってか苦手に感じた。
それは今も同じだ。