公開日:2019年2月27日 | 最終更新日:2023年12月24日

2019年2月27日。年に一回の健康診断も終盤になり、内視鏡の検査が始まった。検査中、医師はなぜかいらだっていた。そして、約10日後の3月9日13時、突如として病院から連絡があった。

健康診断での内視鏡検査の異変

今日は2019年2月27日(水曜)。年に一回の健康診断の日だ。基本的な検査を終え、終盤の山場である内視鏡検査が始まった。

「・・さん、お酒飲みますか? タバコ吸いますか?」内視鏡を操作している医師の、どこかいらだった声が聞こえた。「タバコは吸います。でも、酒は数年前から辞めています。」と、内視鏡を入れられたまま何とか応じた。

その後、二人の医師が何かをしゃべっていた。何か液体も注入していた。どうも何かあるらしいとは感じたが、人生で3回目の内視鏡の違和感にそれどころではなかった。

「大丈夫、大丈夫」とベテラン風の看護師に手を取られながらも、最後には大きなげっぷをして、内視鏡を吐き出してしまった。考えすぎかもしれないが、さらに医師がいらだったような気がした。

最初から最後まで、医師がいらだっていたのが気になったが、どうにもできない。その後、他の検査も終え、年に一回の健康診断は終わった。

医師からの電話。「食道に腫瘍が見つかりました」

約10日後の2019年3月9日(土曜)の13時頃。すっかり健康診断のことも忘れていた頃に、スマホが鳴った。

「・・さんの携帯でしょうか。こちら・・病院の看護師です。」
「はい、・・です。」
「少々お待ちください。医師と代わります。」

「・・さん、内視鏡検査の結果、食道に腫瘍が見つかりました。」
「はぁ。……わかりました。」

電話中も電話の後も、「はぁ、そうですか」「で、結局何なの」といった、何とも実感のない会話だった。

すぐに紹介状をもらいに行く

医師の後に看護師が再度電話に出た。「紹介状がありますので取りに来てください」とのこと。かかりつけ医がいる病院なので近い。電話のあと、そのまま紹介状をもらいに行った。

びっくりしたわけでもない。ただ、医師と電話をするという数十秒間は、非日常的であり、内容をほとんど覚えていなかった。「腫瘍とだけ言っていたか、それとも悪性と言ったのか、腫瘍ってなんだったっけ。」

そんなことだけが、病院へ向かう途中、頭の中をよぎっていた。

今、思えば

検査を始めてすぐに腫瘍らしきモノが見つかったため、食道がんの大きな原因の一つである喫煙歴や飲酒歴を医師は聞いたのだろう。液体注入とは生検のためだろう。癌など、まったく考えておらず、健診当日の私自身に緊張感がなかったのは確かだ。そして、突然の医師からの電話など、想定外だらけだった。

いずれにしても、電話を受けた後、「腫瘍って何だったかな?」という状態が続いた。腫瘍=がんと直接、結びついていなかった。恐怖感や危機感など、その頃はまだ皆無だった。