公開日:2022年11月10日 | 最終更新日:2023年12月13日

2019年8月末で食道がんの治療を一通り終え、2019年末くらいから断捨離を開始。がん闘病中に、断捨離しよう:基本編で断捨離をする際のステップを紹介した。ここでは、具体的な実践方法をまとめた。

ここでは、再発転移の可能性があるがん患者を想定した断捨離の方法をまとめています。

具体的なやり方

通帳や印鑑、契約書など捨ててはダメなモノ、保管場所を知っておいてほしいモノを明確にする

モノを捨てる前にやるべきこと、あるいは捨てながらも同時並行でやることが、捨てないモノを決めることだ。

印鑑・通帳・年金手帳・マイナンバーカード、保険証券や契約書・医療費の領収書、現在、継続中の案件の資料など、捨てないモノを決めて、それらがどこにあるかを明確にする

特に、仕事だけでなくプライベートでも継続中の案件(趣味や友人関係)の資料は、自分にとっては大切でも家族はそのこと自体を知らないことが大半なので、注意したい。

これらの「保管場所」「存在そのもの」を一覧表にしていく。

STEP
1

現在、使っているモノで、自分の死後は捨ててほしいモノを明確にする

これは簡単で、現在、日常で着ている服や歯ブラシ、筆記具などの日用品など捨ててほしいモノをはっきりさせる。

よほどのものでない限り、自分が来ていた服を誰かが着ることもなく、自分が使っていた日用品をだれかがそのまま使い続けることもないはずだ。

死後に捨てていい日用品を明確に
死後に捨てていい日用品を明確に
Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

ポイントは、「死後は捨ててもらっても構わないモノ」を明確にして、捨てやすくすること。

遺された家族による遺品整理も当然ながら、効率よくしてもらいたいものだからだ。

STEP
2

一年以上使っていないモノは捨てる

さて、ここまでが終わったら、本格的に捨てることを開始する。

まず、「捨てても、すぐに買うことが可能、かつ一年以上、使っていないモノは捨てる」という方針を立てることで、捨てられるモノが簡単に見つかる。がん闘病中は、使っていないモノに振り回される余裕は皆無に近い

  • 一年以上、着ていない服
  • 一年以上、使っていない日常品、読んでいない本
  • これらの中で、必要ならすぐに買えるモノ

新品でも捨てる。一年以上使っていなければ、新品ではなく、また今後も使うはずがない。どうしても必要ならもう一度買えばいい。買うチャンスがあるだけでも嬉しい、そんな境地のはずだ。

さて、一年以上、使っていないモノの中には、「何十年も使っていないモノ」もある。これらは、「いつかは使えるだろうと保管したままのモノ」で、次の指針で捨てる。

STEP
3

いつかは使うだろうと保管したままのモノは捨てる

「いつかは使うだろうと保管したままのモノ」「使えるけれども、使っていないモノ」という指針で探すと、かなり多くのモノが該当してくる。重要な点は、必要になっても再度、買えないものがあるということだ。しかし、「今まで使っていないモノはこれからも使わない」と自分に言い聞かせて捨てる。また「世の中に、必要でも買えないものなど星の数ほどある」と考えてもいい。

  • 誰かからもらった贈り物など(今まで残っていて使っていなければこれからも使わない)
  • 自分自身の記念品(どうしても保管したいモノは、死後に供養してほしいモノに区分する)
  • 一年以上、アクセスしていないデジタルファイル(自分がアクセスしていないのだから、誰もアクセスしない)
今まで使っていないモノは今後も不要
今まで使っていないモノは今後も不要
Photo by Claudio Schwarz on Unsplash

「今まで使っていないモノ」は、「ほぼすべてが、これからも使わないモノ」だと言えるので、バッサリと捨てる。

また、ワードやエクセルなどで作った資料も、一年以上、アクセスしていないモノは思い切って消去する。これらも大半が、自分の死後は不要なものばかりのはずだ。

自分自身が買った、もらった記念品や思い出の品で、どうしても捨てられない場合は、下記に記す「死後に供養してほしいモノ」に区分していく。

また、写真や紙の資料はデジタル化してから捨てる。

写真そのものや、子供からの手紙などは、捨てにくいもの。どうしても残したいものは「死後に供養してほしいモノ」に区分できるという余地を持ちつつも、できる限り捨てる。こういったものは、遺された家族も処分に困るものだからだ。

  • 昔の写真(スキャンしてデジタル化してから捨てる)
  • 昔の紙の資料(法的に残すべき契約書など以外は、スキャンしてデジタル化してから捨てる)
  • スキャンできないものは、スマホで撮影してから捨てる

デジタル化できる紙媒体は、スキャナーなどを使ってデジタル化して、クラウドに保存。私の場合は、ScanSnapを使っていますが、これなら何十枚もの写真も書類もすぐにデジタル化できる。これらのデータをgoogledriveonedriveなどのクラウドに保存しておく。

googleの場合、「アカウント無効化管理ツール」というものがあって、GmailやGoogle driveなどに一定期間アクセスしなかった場合、自動的にアカウントを削除したり、第三者がアクセスできるようにしてくれる。これは是非とも設定して欲しい。

さて、自分の書斎のプリンタ・ルーター、ZOOM用のカメラ・マイクなどの家電は、現在稼働中のモノで捨てられないことが多い。また、自分の死後、遺された家族が使うかどうかわからないものは、次の指針がある。

STEP
4

遺された家族が使えるモノは、「使える・使いたければ使う・そうでなければ捨てる」と明確に

カバンを透明袋に入れて撮影し保管場所も明示
カバンを透明袋に入れて撮影し保管場所も明示

プリンタ・モニターなど、また、私の場合は、ほとんど使っていないビジネスバッグがこの範囲に該当した。

これは断捨離当時、まだ学生の子供がいて、このバッグなら社会人の数ヶ月は使えるかなと考え、「使いたければ使ってください」としておいた。

もし家族がそれなりの年齢で、それぞれが持っている場合は、死後に捨ててくれと明示すればいい。

私の場合、プリンタ複合機はまだまだ使えるが、大きさもそれなりなので、「使えるので、使いたければ使ってください、そうでなければ捨ててください」としている。

これも一覧表にしておく。この場合、重要なことは「すぐに使えるようにきれいに保管しておく」こと。そうしないと捨てられてしまう。

STEP
5

思い出の品で、どうしても捨てられないモノは「死後に処分してほしいモノ」として一か所に

自分にとっては大切で、簡単には捨てられないけれども、遺された家族にとっても捨てるに捨てられないモノ。私の場合、妻からの手紙や米国ビジネススクールの卒業証書などの強い想い出の資料でこれだけは捨てられない。これは過去に決別するというよりも自分自身に決別してしまうような気もしてしまう。

これらの扱いは次のようにした。

  • まず、この指針に沿ったものを一か所に集める
  • 手紙や書類などは、新しくファイルを購入して入れ直す(入れ直す過程で、捨てられないと思っていたものがかなり捨てられる)
  • 収納ボックスくらいの入れ物を新しく購入し、すべてを入れる
  • 死後、このボックスに入っているモノを一括で供養するなどして処分してくれと記す

ポイントは入れ物を用意し、そこに入るだけのモノを残す、ということ。私の場合、次のような大きさの収納ボックスを買って、そこに入るだけのものを残すことにした。大きさは人それぞれのはずだが、私の場合、入るようで入らないけれども、無理をすれば入る、という微妙な大きさにした。

もちろんこの収納ボックスを火葬と共に焼くわけにはいかないので、火葬と共にできるものは火葬に、それ以外は何らかの形で供養後に処分してもらえれば、と記載している。

この収納ボックスの中身は私自身にとって最も大切なもの。死後に遺された家族が中身を見て、それぞれ思う形で処分してもらえればと考えている。

「大切なモノを収納ボックスに入れるなんて」と思われる方は、似たようなサイズの入れ物を用意すればいい。ただ、収納ボックスのサイズは押し入れやベッド下などに入れやすい、意味のある大きさである。

STEP
6

断捨離を終えて

断捨離は勢いだと思う。

私の場合、あるいはがん闘病中の方の場合、「残された時間」が念頭にあるはずなのでダラダラと断捨離しないはずだ。今まで捨ててこなかったモノを一気に捨てることで過去に決別する。断捨離中に、これを意識してやると簡単にモノを捨てられた。

重要なことは、ここで紹介した内容は、家全体の断捨離ではなく、私の部屋にあるものの断捨離となっている。夫婦で家のモノを断捨離する場合は、少し違うあるいはまったく違う指針が必要だと思っている。

さて、一気にモノを捨てたわけだが、その後に後悔は無い。結構、捨てられたと感じると共に、これ以降、あまりモノが増えていない感がある。なにより、空間が増えたことによる爽快感が今も強くある。

幸せ
Photo by Ben White on Unsplash

現在、一定期間使っていないモノは、少し大きめの箱にすべてまとめて入れている。ある程度、箱が一杯になってくれば、中身を確認して、上述の断捨離の方針に沿って捨てている。

家族からは、そう簡単にモノを捨てるなと言われそうだが、「再発転移」という文字が頭の中から消えるまでは、このスタイルで続けていく。